ふたたびブログ

いろんなものを書きます

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

置き去りの私とシーンの明日とゆりかごのユーミン

恥ずかしながらと言うべきであろう、もう10年以上は音楽シーンに対する認識がアップデートされていない。元来、あまり流行に明るくもなく飛びつきもせず追いかけることには引っ込み思案でそのくせ、運命的に出会ったものにだけとことんハマる、別に音楽フリ…

薄曇りの空が、剥いだスルメイカの皮に見えたので

ふと、海沿いの曾祖母の家で食べたイカの刺身のことを、懐かしく惜しく思った。 曾祖母のことは嫌いではない。 この曾祖母は漁港の近い集落に、私が物心ついた時にはもう長く一人で暮らしていて、なんでも一人でやる人だった。曽祖父にあたる人は戦争に行っ…

「五月の星々」佳作に選んでいただきました

140字小説のコンテスト「五月の星々」にて、佳作に選んでいただきました。 コンテストの詳細と受賞作はこちら。 note.com 先週きゅうにリプライ欄へ通知が来ていてびっくりしたら、「予選通過のお知らせ」だったもので、そこから週末の結果発表までどきどき…

誰かが泣きじゃくってくれたら私の心も軽いのに/『宝石の国』感想

例に漏れずというやつで市川春子先生『宝石の国』を一万分の無料公開に乗じて一気読みした。最新話(アフタヌーン最新号に掲載の九十六話)も購入して拝読した。 comic-days.com ※サイトだと八十八話までしか読めないが、アプリからだと(おそらく初回使用で…

苺のケーキが少ない理由/100歳で死んだ嫌いな女について

私の生涯でもっとも嫌いな女こと100歳の寿命で死んだ祖母は、クリスマスケーキの苺を「ハウス栽培でしょう」といって疎ましがった。今ではナンセンスである。当時からまったくナンセンスであった。 かつては自分も畑をやっていた(どの程度の一般的な言い回…

だれもころしたくはないのに

息をしているということは、常にだれかをころすことなのかもしれない。 溜め息を漏らすのも億劫そうに、白樺の枝のような指がティースプーンをくるり。四角い砂糖が溶けた。 私はおそらく思想がいささか、他人よりも過激なのだろう。私にそんなつもりはない…